「あ、あんっ・・・・」

白い脚を抱え上げ、激しく突き上げるたび、悲鳴とも嬌声ともつかない声があがる。

夜色の瞳は閉じられて、代わりに眦からこぼれる雫が夜を映しては落ちていく。

その清冽な眺めとは裏腹に、今まさに泰明を包み込んでいる場所は淫らがましく泰明に感じ入り、いっそうの淫虐を求めて揺れていた。

私の、永泉。

夜目にも赤く火照った頬から、汗に張り付く髪を払いのけ、欲ばかりをかきたてる声をこぼす唇に喰らいつく。

熱く濡れた舌に求められ、求めて、息も止まるような口付けを繰り返すうちに、手の中の脚がびくびくと震えだした。

頃合か。

唇を離し、腰に絡み付こうとする脚を手荒に押し上げ、熟れきった肉を堕とすために、いっそう激しく責め上げた。

「あ、あ、あああぁぁぁぁぁっ」」

高く上がる声に、食い締めてくる肉襞、痙攣する熱い体、濡れて､手のひらに吸い付く皮膚。

私の・・・永泉。

「ぁ・・・ぅんっ」

最後に絶え入るような声を漏らし､はたりと力を失った体から自身を抜き出す。

今まで繋がっていた場所同士が､てらてらと濡れ光る様が淫靡だったが、放り出されたような裸体は、まるで聖なる供物のようだった。

「・・・・」

永泉を抱いたあと､必ず味わう苦味が､体中に広がる。

先程までの甘い熱を孕んだままの体に､交じり合うころも打ち消しあうこともなく、その苦さは泰明を苛む。

「永泉」

私は､お前の役に立っているのだろうか？

永泉は､その指先ひとつ、声ひとつ。

いや、その気配や記憶だけでも、泰明を癒す。

どんな状態であっても、永泉がいれば泰明は立ち上がることができるだろう。

しかし、永泉は。

「お前は・・・・」

永泉は、泰明を優秀な陰陽師として認めている。

泰明の力を、認めている。

しかし、永泉は、

泰明を、必要としているのだろうか？

永泉に、優秀な陰陽師など必要ない。

自身の霊力で、無意識といえど自分の身くらいは守れるだろう。

しかし。

泰明はもう・・・永泉なしではいられない。

閉じた目蓋に、口づける。

睫毛の先の、そのほんのわずかな感触から唇を離せないでいると、それがさわりと震えて、禁色の瞳がのぞいた。

「やすあき、どの・・・」

甘くかすれた、永泉の声。

「何故・・・・」

そんなことは、自分が知りたい。

伸びてきた指に、涙を払われ、柔らかく絡みつく腕に身を委ね。

濡れた頬を舐められ、唇を舐め返し。

共に、眠る。

I need you.

And you?